
ビットコインとイーサリアムという名前は、それぞれの仕組み(ネットワーク)と、そこで使われるお金の両方を指して使われます。
取引所の画面では、それぞれ「BTC」「ETH」という表記で並んでいます。
BTC・ETHは、そのお金の単位を表す書き方です。
結論から言うと、2つの違いは大きく2点あります。
1つめは使い道です。
BTCは、送ったり持っておいたりするための通貨です。
ETHも送ったり持っておいたりできますが、それだけではありません。
イーサリアムでは、NFTの売買やゲームなどのアプリが動いていて、それを使うときの手数料をETHで払います。
2つめは、枚数の増え方の決まり方です。
BTCは全部で2,100万枚までと、増えるペースが最初から決まっています。
ETHには上限がなく、新しく発行される量と、手数料として消える量の差しだいで、増えることも減ることもあります。
直近1年で増えた枚数の割合は、たまたまどちらも約0.82%で、ほとんど同じでした。
違うのは増えた量ではなく、その量がどう決まるかのほうです。
「買うならどっち」という問いには、使うために買うのか、持つために買うのかで答えが変わるので、記事の後半で分けて答えます。
BTCは、ビットコインのネットワークで送ったり受け取ったり、持っておいたりするための通貨です。
ビットコインのネットワークの主な役目は、BTCを誰から誰へ送ったかを記録することにあります。
ETHも、イーサリアムのネットワークで送ったり持っておいたりできる通貨です。
そのうえでイーサリアムには、プログラムを置いて自動で動かせるという特徴があり、このプログラムを「スマートコントラクト」と呼びます。
NFTの売買や、暗号資産どうしを交換するサービスなど、多くのアプリがこの仕組みの上で動いています。
イーサリアムでは、送金やアプリの操作のように記録を書き換えるたびに「ガス代」と呼ばれる手数料がかかり、その支払いにETHを使います。
ほかにも、ETHを預けてネットワークの運営に参加し、報酬を受け取る「ステーキング」にも使われます。
建物にたとえると、ビットコインは送金の窓口が中心の建物、イーサリアムは誰でも店を出せる建物です。
ただし実際には、どちらの建物にも持ち主はおらず、世界中の参加者が同じ記録を持ち合って動かしています。
また、イーサリアムで払う利用料のうち基本の部分は、誰の手にも渡らずに消える決まりです。
ここは、建物の利用料と違うところです。
利用料がかかるのは記録を書き換える操作をするときで、画面で見るだけならかかりません。
アプリによっては、利用料を利用者の代わりに払っている場合もあります。
ビットコインでも送金以外の使い方が一部ありますが、アプリを広く動かすことを前提に作られているのはイーサリアムのほうです。
BTCもETHも、新しく発行されることで枚数が増えていきます。
違うのは、その量がどう決まるかです。
新しいBTCは、取引をまとめたブロックを作った参加者への報酬として生まれます。
ブロックはおよそ10分に1つ作られ、1つあたりの報酬は、21万ブロックごと(およそ4年ごと)に半分になる決まりです。
これが「半減期」で、最初は1ブロック50BTCだった報酬が、2024年4月からは3.125BTCになっています。
ブロックの記録を読むと、4回の半減期のたびに報酬がきちんと半分になっていることが確かめられます。
報酬が半分になり続けるので、BTCの総量は2,100万枚に近づいていき、それより増えることはありません。
2026年10月3日時点では、すでに約2,009万枚が発行されています(発行のルールから計算した値)。
半減期の詳しい仕組みは、ビットコインの半減期の記事で説明しています。
ETHには、総量の上限がありません。
新しいETHは、ETHを預けてネットワークを支える参加者への報酬として生まれ、その量は預けられているETHの総量によって決まります。
一方で、ガス代のうち基本の部分は、払われるたびに消える(バーンされる)決まりです。
イーサリアムが多く使われて手数料が高くなるほど消える量が増え、新しく生まれる量を上回れば、ETHの総量は減ります。
実際、2022年9月に今の仕組みに切り替わってから2024年4月ごろまでは、ETHの総量は少しずつ減っていました。
その後は増える側に転じ、直近1年では約0.82%増えています。
増減には、預けられているETHの量(発行の側)と、使われ方(消える側)の両方が関わります。
この記事では、それぞれがどれだけ効いたかまでは分けていません。
BTCの枚数の増え方は、半減期のたびに段階的に小さくなり、この先もルールどおりに小さくなっていきます。
ETHの枚数の増え方は、この3年は大きくなってきましたが、預けられている量や使われ方が変われば、小さくなることも、減る側に戻ることもあります。
直近1年で2つの枚数の増え方がそろったのは、この2つの動きがたまたま重なった結果です。
この節は、取引所から自分のウォレットに移したり、ウォレットから人に送ったりするときの話です。
取引所で売買して、そのまま取引所に置いておくだけなら、ここで説明するネットワークの手数料はかかりません。
取引所から外へ送るときは、取引所が決めた送金手数料がかかり、その額はネットワークの手数料とは別に決まっています。
2026年10月2日の1日分の記録から、それぞれのブロックで払われた手数料の単価(中央値)を読み、ふつうの送金1回の大きさに当てはめて計算しました。
BTCは約17円、ETHは約3円でした(1BTC=1,200万円、1ETH=40万円と仮に置いて計算)。
BTCは、入力1つ・出力2つのよくある形の送金(141vB。vBは手数料の計算に使う「仮想バイト」という単位)で計算した値で、送金の形が違えば手数料も変わります。
ETHは、ETHをそのまま送るだけの送金(21,000ガス)で計算した値です。
1日分の値なので、いつもこの差になるわけではなく、どちらも混み具合で大きく変わります。
イーサリアムでは、2022年5月に一時、1回送るときの基本手数料だけで6万円を超える水準になったこともありました(1ETH=40万円と仮に置いて計算)。
イーサリアムのガス代がどう変わってきたかは、イーサリアムのガス代はなぜ安くなったのかの記事で、チェーンの記録をもとに説明しています。
ETHのいまのガス代は、イーサリアムのガス代(いまの値)で確かめられます。
送った取引がブロックに入るまでの時間と、あとから覆りにくくなるまでの時間は、別のものです。
※表は横にスクロールできます
| BTC | ETH | |
|---|---|---|
| ブロックに入るまで | 平均でおよそ10分(直近1年の実測は平均10.1分) | 12秒ごとの枠で、早ければ次の枠 |
| 覆りにくくなるまで | 後ろにブロックが積み重なるほど覆りにくくなる。bitcoin.orgは高額なら6ブロック(約1時間)を最低限の目安としている | 「ファイナリティ」と呼ばれる状態になると、覆すには大量のETHが失われる。ethereum.orgの説明ではおよそ15分 |
| 取引所への入金 | 取引所ごとに、何ブロック待ってから反映するかを決めている | 同じく取引所ごと |
ビットコインの取引は、ブロックが積み重なるほど覆される見込みが小さくなっていきます。
ある時点で、絶対に覆らなくなるわけではありません。
イーサリアムのファイナリティも、覆すことが経済的に割に合わなくなる状態という意味です。
送ったお金が相手の画面に反映されるまでの時間は、受け取る側が何ブロック待つかで変わります。
先に、自分が「使うために買う」のか、「持つために買う」のかを分けて考えると、答えが出しやすくなります。
イーサリアムの上でNFTを買う、アプリで暗号資産を交換するといった操作を自分で手数料を払ってするなら、ETHが必要です。
ただし、画面で見るだけの操作には手数料はかかりません。
アプリによっては、利用者の代わりに手数料を払う仕組みを使っていて、ETHを持たずに使える場合もあります。
また、イーサリアムとは別のネットワーク(レイヤー2や別のチェーン)で動くアプリは、手数料の仕組みも払う通貨も違います。
使うアプリの案内を確かめてください。
誰かにBTCで送る、BTCで受け取る、BTCで支払えるお店で使うといった使い方なら、必要なのはBTCです。
2026年10月時点で、国内にもBTCで支払える通販サイトがあります(使えるウォレットや、1回に払える上限が決まっています)。
どちらが良いかは、これからの値上がりを予想することになるので、この記事では答えを出しません。
その代わり、比べるときの材料を表にまとめました。
自分がどの項目を大事にするかで、見え方が変わるはずです。
※表は横にスクロールできます
| 比べる項目 | BTC | ETH |
|---|---|---|
| 総量の上限 | 2,100万枚 | なし |
| 枚数の増え方の決まり方 | 発行のペースが最初から決まっていて、約4年ごとに半分になる | 預けられているETHの量で発行が決まり、使われるほど手数料の基本部分が消える |
| 直近1年で増えた枚数の割合 | 約0.82% | 約0.82% |
| 何に使われているか | 送る・持つ | 送る・持つ・アプリの手数料・ステーキング |
| 値動き | 大きい。元本は保証されない | 大きい。元本は保証されない |
なお、BTCは1枚単位でなくても、0.001BTCのように小数点以下の量で持てます。
1枚あたりの値段が高いことと、少ない金額から持てるかどうかは別の話で、最小でいくらから買えるかは取引所ごとに決まっています。
ビットコインそのものの仕組みは、ビットコインとは何かの記事でも説明しています。
ここからは、上の説明の中身を、公式の資料やブロックの記録にそって補足します。
ビットコインは、参加者が計算の速さを競ってブロックを作る「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」という仕組みです。
イーサリアムも以前は同じ仕組みでしたが、2022年9月15日の「The Merge」で、ETHを預けた参加者がブロックを作る「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」に切り替わりました。
イーサリアムの公式サイトは、この切り替えでネットワークの電力消費が約99.95%減ったと説明しています。
ETHを預ける仕組みは、ステーキングの記事で説明しています。
The Merge以降の新しいETHは、ブロックの提案や承認をした参加者への報酬として発行され、その量は預けられているETHの総量によって変わります。
2021年8月に入ったEIP-1559という変更で、手数料は自動で決まる基本手数料と、上乗せのチップに分かれました。
基本手数料はバーンされ、チップはブロックを作った参加者に渡ります。
2024年3月に導入されたblob(レイヤー2が記録を置く専用の領域)の手数料も、同じようにバーンされます。
ビットコインの各半減期の直前と直後のブロックを読むと、1ブロックあたりの報酬は次のようになっていました。
報酬は、ブロックを作った参加者が受け取った額から、取引の手数料を引いて求めています。
※表は横にスクロールできます
| 半減期(日本時間) | ブロックの番号 | 1ブロックの報酬 |
|---|---|---|
| 2009年1月(最初) | 0 | 50BTC |
| 2012年11月29日 | 210,000 | 50→25BTC |
| 2016年7月10日 | 420,000 | 25→12.5BTC |
| 2020年5月12日 | 630,000 | 12.5→6.25BTC |
| 2024年4月20日 | 840,000 | 6.25→3.125BTC |
| 2028年4月ごろ(見込み) | 1,050,000 | 3.125→1.5625BTC |
次の半減期の時期は、ブロックが平均10分に1つ作られるとして計算した見込みで、実際の作られる速さによって前後します。
イーサリアムでは、12秒の「スロット」が32個で1つの「エポック」になります。
エポックの区切りで、預けられたETHの3分の2以上の賛成が積み重なると、ブロックが確定(ファイナライズ)します。
確定までの時間は投票の進み具合で決まり、ethereum.orgは約15分と説明しています。
BTCの報酬と供給量は、2026年10月3日に、mempool.spaceの公開APIからブロックの記録を読んで確かめました。
供給量は、各時点のブロックの番号から発行のルールで計算した値で、受け取られなかった報酬などがあるため、実際の量はこれよりわずかに少なくなります。
2026年10月3日の値は、blockchain.comとBlockchairの集計(約2,009万BTC)とも一致し、差は約30BTCでした。
ETHの供給量は、ultrasound.moneyが公開している日ごとのデータ(各日0時 UTC)を使いました。
ultrasound.moneyは、計算に使うプログラムを公開している集計サイトです。
Etherscanの日ごとのデータで計算し直しても、1年ごとの増え方は0.11%・0.62%・0.82%で、ほぼ同じでした。
送金1回の手数料は、2026年10月2日の0時(日本時間)以降の最初のブロックから、約1時間おきに24ブロックずつ読みました。
間隔は、イーサリアムが300ブロックおき、ビットコインが6ブロックおきです。
どちらも、ブロックごとに全取引の単価の中央値を取り、24ブロックの中央値に、単純な送金1回の大きさを掛けています。
イーサリアムは、チップを含めた実際の単価の中央値(0.304Gwei)に21,000ガスを掛けた値です(ブロック26098222から、PublicNodeのノードで取得)。
ビットコインは、手数料率の中央値(1vBあたり1.0サトシ)に141vBを掛けた値です(ブロック969457から)。
2022年5月の値は、ブロック14688979(2022年5月1日10時24分・日本時間)の基本手数料7,750.839Gweiに21,000ガスを掛けた値です(dRPCと1RPCのノードで同じ値を確認)。
円の金額は、1BTC=1,200万円、1ETH=40万円と置いた比較用の計算で、特定の日の価格ではありません。
本記事は暗号資産の仕組みに関する情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入・売却を推奨したり、投資を勧誘したりするものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本は保証されていません。投資の判断はご自身の責任で行ってください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、その後の状況の変化を反映していない場合があります。
この記事は まず知る.com 編集部(運営:合同会社東洋DEX)が書いています。運営者と編集方針