
亀甲竜(キッコウリュウ)は亀の甲羅のようにひび割れた塊根が特徴的な人気の塊根植物です。
ハート形の可愛らしい葉とツル性の茎を伸ばし、インテリアグリーンとして人気があります。
冬型の塊根植物で、秋から春にかけて成長し、夏は休眠するという独特な生育サイクルを持ちます。
この記事では初心者でも失敗しない亀甲竜の育て方を詳しく解説します。
亀甲竜は南アフリカ原産のヤマノイモ科ディオスコレア属の塊根植物です。
学名は「Dioscorea elephantipes(ディオスコレア・エレファンティペス)」で、「エレファントフット(象の足)」という別名もあります。
南アフリカのホッテントット族にとっては食料とされることから、「Hottentot’s Bread(ホッテントットのパン)」とも呼ばれています。
最大の特徴は、亀の甲羅のようにひび割れた塊根部分です。
若い株はツルツルしていますが、4年から5年かけて徐々にひび割れが入り、年月を重ねるごとにゴツゴツとした迫力ある姿へと変化していきます。
亀甲竜の塊根は株によってひび割れの模様が異なり、一つとして同じものはありません。
発芽して数年はデコボコはなく、ツルツルの石のような形をしています。
ある程度の時間が経つと表面がひび割れ始め、このひび割れには規則性がないため株ごとに個性的な模様を楽しめます。
塊根は土中に形成されますが、園芸的な価値を出すため、塊根部のほとんどが土の上に出た状態で販売されています。
自生地では塊根のほとんどが土中に埋まっているそうですが、栽培する場合は表面に出して育てる方が観賞価値が高まります。
塊根のゴツゴツした見た目とは対照的に、葉はハート形でツヤがあり、とても可愛らしい姿をしています。
このギャップも亀甲竜の魅力の一つです。
秋になるとツルを伸ばし始め、周囲のものに巻きついていく性質があります。
ツルはよく伸びるので、支柱を立てて誘引すると見た目がすっきりします。
どのような形に仕立てていきたいのかを考えながら、支柱を立ててツルを誘引するとよいでしょう。
亀甲竜は雄株と雌株に分かれる雌雄異株の植物です。
春になると小さな白い花を咲かせます。
雄花は直径約5ミリほどで、10個から15個が一房に咲き、お菓子のような甘い香りがします。
雌花も雄花と同じくらいの大きさですが、花の下が長く膨らんでいて、花数も雄花に比べて少ないのが特徴です。
雌株は非常に少ない確率でしか存在せず、雌花はとても貴重です。
亀甲竜は冬型の塊根植物で、秋から春にかけて成長し、夏は休眠します。
この独特な生育サイクルを理解することが、上手に育てるポイントです。
成長期と休眠期で管理方法を変える必要があります。
ここからは具体的な管理方法を見ていきましょう。
亀甲竜は日当たりがよく、風通しの良い場所で育てます。
栽培に適した気温は15度から20度くらいです。
成長期の秋から春にかけては、室内の日当たりの良い場所に置きましょう。
半日陰でも育ちますが、日当たりの方が成長が良くなります。
屋内か軒下が理想的です。
休眠期の夏は葉が無いため、日当たりはそれほど気にする必要がありません。
ただし雨の当たらない場所に置いてください。
亀甲竜は過湿が苦手なので、水やりのしすぎには十分注意しましょう。
年間を通して乾燥気味に育てることが大切です。
成長期の秋から春にかけては、土の表面が乾いてから数日後に水やりをします。
冬の間は水やりを控えめにして、越冬させましょう。
休眠期の夏は断水して大丈夫です。
葉が枯れたからと焦って水やりをすると、塊根に雑菌が入ったりカビたりして枯れてしまいます。
葉やツルが枯れたからといって死ぬほどヤワな植物ではないことを念頭に入れてください。
亀甲竜は寒さに強い植物です。
真冬でも屋外の軒下で管理できますが、雨や雪、霜に当てないように注意しましょう。
耐寒温度の目安は0度から5度で、マイナス3度程度までなら軒下でも管理できます。
ただし、5度を切らない場所が理想的です。
寒すぎると成長が止まるので、できるだけ暖かい場所で管理しましょう。
逆に暑さには弱いので、夏の間にエアコンの効いている室内で育てられるのであれば、涼しい室内に移動させた方が無難です。
夏に屋外で育てる場合でも、雨ざらしでの管理は避け、風通しのよい日陰などの場所を選びましょう。
亀甲竜は毎年植え替えてあげた方が良い結果が出ます。
鉢サイズに合わせてどんどん大きくなるので、一回り大きな鉢に植え替えることで成長を促せます。
塊根を大きく育てたい場合は、保水力のある土と適度な肥料が必要です。
ここでは植え替えと肥料の与え方を詳しく解説します。
植え替えは9月頃に行うのがベストです。
植え替えの数日前から水やりを中止し、土をしっかり乾かしておきます。
鉢から株を取り出したら、根鉢を丁寧にほぐし、腐ったり傷んだりした根は取り除きます。
太い根だけを残し、黒く細い根は植え替え後に痛んで根詰まりの原因となるので切り取ります。
可能であれば根洗いし、塊根の底面にネジラミなどの害虫や腐った部分がないか確認しましょう。
株よりも一回り大きな鉢に植え替えます。
植え替え後、1週間ほどは弱っている状態なので、水は与えないようにします。
亀甲竜は水はけの良い土を好みます。
市販の多肉植物用の培養土やサボテン用の土を使うのが手軽です。
自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)3、鹿沼土(小粒)3、腐葉土4の割合で混ぜたものがおすすめです。
水はけが良すぎて保水力がない土を使うと、塊根の成長が遅くなるので注意が必要です。
塊根を大きく成長させるには、保水力と適度な肥料を与えるようにします。
実生1年から2年目までの小さい株は乾きに弱いので、保水性がある程度あるように調整します。
2年経ち株が大きくなり、ひび割れも出てきたら、保水性より排水性を重視した用土にしましょう。
肥料は秋から春にかけての成長期に与えます。
植え替え時に緩効性肥料を混ぜ込むか、鉢の縁付近に指で土に穴をあけて肥料を少量入れるとよいです。
成長期には液体肥料を2週間に1度くらい与えるようにしましょう。
また、月に1回、希釈した活力剤を水やりの際に混ぜて与えるのも効果的です。
冬は成長が緩やかになるので、肥料は控えめにします。
休眠期の夏は肥料は不要です。
亀甲竜は冬型の塊根植物なので、夏に葉を落とし休眠します。
この休眠期の管理が上手にできるかどうかが、亀甲竜を長く育てるポイントです。
休眠期と成長期の見極め方と、それぞれの時期の管理方法を理解しましょう。
4月頃(環境によって違う)に、葉が一斉に茶色になって枯れてしまったようになります。
これは休眠への準備で、決して枯れてしまった訳ではありません。
枯れたと思って捨ててしまわないように注意してください。
亀甲竜は休眠を迎えるとき、葉に預けていた葉緑体を回収してから休眠に入る性質があります。
葉が茶色く染まるのは、葉緑体の回収作業が完了した証拠です。
葉から緑色がなくなり、葉緑体を回収し終わったことを確認してから、葉を切り落とすようにしましょう。
休眠期の夏は基本的に断水します。
葉がなくなっているので、水やりはそこまで必要ありません。
土が乾いて7日から10日ほどたってから、少量の水を与える程度で十分です。
夏の間は根腐れ防止のために完全に断水する方もいらっしゃいます。
水やりをする場合は、朝ではなく夕方4時以降の涼しい時間帯にあげることをおすすめします。
朝に水やりをすると日中の高温で亀甲竜の裏側(根っこ側)がかなり蒸れて危険です。
9月頃になると、亀甲竜は休眠から目覚め始めます。
塊根の頂部から新しいツルが伸びてくるのが休眠明けのサインです。
ツルが出てきたら、通常の水やりを再開しましょう。
休眠明け直後は少量の水から始めて、徐々に水やりの量を増やしていきます。
ツルが折れたり抜けても休眠が明けるとまた出てきますが、せっかく出てきたツルがなくなると見た目が残念な感じになります。
何かに絡まっても強引に引っ張らず、きちんと外した方がよいです。
亀甲竜を育てていると、葉焼けや害虫などのトラブルに遭遇することがあります。
早めに気づいて対処すれば大きな問題にはなりません。
ここでは初心者が遭遇しやすいトラブルとその解決方法を紹介します。
活動期に直射日光が原因で葉焼けすることがあります。
葉焼けした部分は茶色くなり、元に戻ることはありません。
この場合はちょっと日光が当たりすぎなので、株が枯れる訳ではないですが移動した方が株をキレイな状態に保つことができます。
真夏の直射日光は特に注意が必要です。
遮光ネット30パーセントから50パーセント程度を使って日よけをするのが効果的です。
また、日に当てすぎると葉が赤くなり、その後白くなって鑑賞価値が下がってしまいます。
亀甲竜は過湿が苦手なので、根腐れには十分注意が必要です。
特に休眠期に水を与えすぎると、塊根が腐ってしまいます。
風通しの良い場所で管理し、水はけの良い土を使うことで予防できます。
梅雨の時期は、水をやりすぎずに過ごすことが大事です。
湿度が常に高く、天気も悪い日が連続するため、連日晴れが続かない限りは基本的に水はやりません。
塊根の底面が黒ずんできたり、柔らかくなったりしたら根腐れのサインなので、早めに植え替えましょう。
亀甲竜は他の多肉植物に比べ、病害虫の心配がほとんどいりません。
ただし、植え替え時には根に白い虫(ネジラミ)が付いていないかチェックしましょう。
見つけたら水で洗い流すか、その部分を取り除きます。
また、高温多湿の時期には軟腐病に注意が必要です。
軟腐病は土の中の細菌によって起こり、地面近くの葉や茎が変色して柔らかくなります。
風通しの良い場所で水はけの良い土を使い、過湿にならないように管理することで予防できます。
亀甲竜は種から増やすのが一般的です。
種まきは少し手間がかかりますが、小さな塊根が何年もかけてゴツゴツと成長していく過程を楽しめます。
長い間栽培していくうちに、愛着がわいてくる人がたくさんいます。
ここでは種まきの方法を詳しく解説します。
種まきは9月から10月頃が適期です。
15度以上の環境で管理することが大切です。
赤玉土(小粒)と鹿沼土(小粒)、バーミキュライトを等量混ぜた土に種をまいていきます。
種を軽く覆土して適温においておくと、2週間から3週間ほどで発芽します。
鉢の底に水を溜めて、土に吸水させながら管理していくと発芽しやすくなります。
亀甲竜の種は羽のある種子で、ひらひらと舞います。
1年で2センチくらいの塊根ができます。
育てるのが上手な方はそれ以上の大きさになるかもしれません。
2年目からは魅力でもある表皮のゴツゴツ感、ひび割れが出てきて一気に亀甲竜らしくなっていきます。
小さな塊根が、何年もかけてゴツゴツと亀の甲羅のように成長していきます。
実生1年から2年目までの小さい株は、乾きに弱いので注意が必要です。
栽培用土も保水性がある程度あるように調整しましょう。
9月上旬から5月中旬が成長期になり、9月ぐらいからツルを伸ばして葉を展開していきます。
ツルをそのままにしておくと周囲のものに巻きついていくようになります。
どのような形に仕立てていきたいのかを考えながら、支柱を立ててツルを誘引するとよいでしょう。
支柱は100円ショップで購入できますが、大型のガーデニングショップやAmazonなどで購入した方がバリエーションが豊かです。
ワイヤータイプの支柱を購入すれば、自分で好きなカタチをつくることもできます。
貴方好みのきれいな形の亀甲竜を目指してみてください。
亀甲竜(キッコウリュウ)は初心者でも育てやすい人気の塊根植物です。
冬型の生育サイクルを理解し、成長期と休眠期で管理方法を変えることが大切です。
日当たりがよく風通しの良い場所で管理し、過湿に注意すれば元気に育ってくれます。
小さな塊根が何年もかけて亀の甲羅のような姿に成長していく過程は、育てる楽しみの一つです。
ハート形の可愛らしい葉と、ゴツゴツした塊根のギャップが魅力的な亀甲竜を育てて、長い年月を連れ添う楽しみを味わってください。