
アバランチ(Avalanche)は、暗号資産の AVAX を使うブロックチェーンのネットワークです。
AVAX は取引所などで使われる略号で、国内の取引所では「アバランチ」の名前で扱われています。
アバランチには、土台となる「Primary Network」(役割の違う C・X・P の3つのチェーン)と、それとは別に、それぞれのバリデーターとルールで動く「Avalanche L1」というブロックチェーンがあります。
AVAX は、Primary Network で取引の手数料を払ったり、ネットワークのステーキング(後で説明)に使ったりする暗号資産です。
AVAX を送る・受け取るときは、受け取る側が指定するネットワークとアドレスを確かめてください。
価格が今後どうなるかは断定できないので、この記事では、供給の決まりと、公開情報で確かめられる使われ方を説明します。
アバランチを一言でいうと、用途ごとに専用のブロックチェーンを作れるようにするネットワークです。
ブロックチェーンは、取引の記録を多くのコンピューターで共有して、あとから書き換えにくくした台帳です。
専用のブロックチェーンは「Avalanche L1」と呼ばれ、ゲームの会社などが、自分たちのバリデーターとルールで動かしています。
Avalanche L1 は、もとは「サブネット」と呼ばれていて、2024年8月に公式が、こうしたチェーンを広く「Avalanche L1」と呼ぶように改めました。
これとは別に、アバランチの土台となるネットワークとして、Primary Network があります。
Primary Network には、役割の違う3つのチェーン(C・X・P)があります。
Avalanche L1 のバリデーターは、Primary Network の P チェーンに登録されますが、取引の記録や合意は、それぞれの L1 の中で行われます。
アバランチを動かす中心のソフトウェア(AvalancheGo)は、米国の Ava Labs という会社が開発しています。
メインネット(本番のネットワーク)は、2020年9月21日に始まりました。
たとえるなら、Primary Network は、用件ごとに3つの窓口を持つ、町の役所です。
Avalanche L1 は、お店ごとの専用の建物にあたります。
建物の中のルールや警備は、お店ごとに自分で持ちます。
建物の届け出は、役所の運営の窓口(P チェーン)で受け付けます。
3つのチェーンは、どれも AVAX を扱えますが、役割とアドレスの形が違います。
C チェーンは、スマートコントラクト(ブロックチェーンの上で、決めた条件どおりに自動で動くプログラム)を動かすチェーンです。
イーサリアムと同じ形のプログラムが動くので、イーサリアム向けのウォレットの多くが C チェーンに対応しています。
X チェーンは、AVAX などの資産を送ったり受け取ったりするためのチェーンです。
P チェーンは、バリデーター(後で説明)の管理や、Avalanche L1 の作成、ステーキングを受け持つチェーンです。
国内の取引所のうち、編集部が2026年10月26日に公式のヘルプを確かめた5社では、入金について、C チェーンだけと案内しているのが4社、C チェーンと X チェーンの両方が1社でした。
出金は、このうち4社が入金と同じチェーンを案内していて、残りの1社は、出金側の案内を確かめられませんでした。
P チェーンでの入出金を案内している会社は、この5社の中には見つかりませんでした。
日本暗号資産等取引業協会の一覧(2026年10月16日更新)で、AVAX に「利用者が国内で新たに取引を開始できる状況にある会員」として〇が付いているのは13社です。
入出庫にどのチェーンを使うかは会社ごとに違うので、使う会社の案内で確かめてください。
この記事で説明しているのは、Avalanche の Primary Network(C・X・P)にある AVAX です。
取引所によっては、Avalanche 以外のネットワークの AVAX を入出金に選べる場合があります。
受取画面で Avalanche 以外のネットワークが指定されているときは、その指定に合わせて、資産名・ネットワーク・アドレスを確かめてください。
C チェーンのアドレスは「0x」で始まります。
ただ、0x で始まるアドレスは、イーサリアムをはじめ、イーサリアムと同じ形のプログラムが動くネットワーク(EVM 系と呼ばれる)で広く使われている形です。
先頭が 0x だからといって、Avalanche の C チェーンのアドレスとは言えません。
X チェーンと P チェーンのアドレスは「X-avax1…」「P-avax1…」の形で、先頭の「X-」「P-」でどちらのチェーンかを表します。
同じ秘密鍵(資産を動かすための、持ち主だけが持つ暗証番号のようなもの)から作っても、C チェーンのアドレスは、X・P のアドレスとは別のものになります。
送るときは、資産名・ネットワーク・アドレスの3点を、受け取る側のサービスの受取画面で一致させてください。
送り先やネットワークを間違えたあとにできることは、送金を間違えたらどうなるかの記事で説明しています。
自分で秘密鍵を管理するウォレットが対応していれば、そのウォレットの中で、AVAX を別のチェーンへ移せます。
移すときは、元のチェーンから出す操作(export)と、先のチェーンに入れる操作(import)の2段階になります。
利用者が自分で export・import を操作できるのは、自分で秘密鍵を管理する対応ウォレットの中にある AVAX です。
取引所などに、対応していないチェーンで送ってしまった AVAX は、送った側のウォレットの操作では移せません。
戻せるかどうかは、送った先のサービスの対応しだいです。
AVAX の主な使い道は、手数料の支払いとステーキングです。
Primary Network の3つのチェーンでは、取引の手数料を AVAX で払います。
払った手数料はだれかに渡るのではなく、バーン(二度と使えないように消すこと)されます。
イーサリアムでは、優先して処理してもらうための上乗せ分の手数料が、ブロックを作る参加者に渡ります。
アバランチの C チェーンでは、この上乗せ分もバーンされます。
C チェーンの手数料の最低額は、2026年9月22日(世界標準時。日本時間では23日)のアップグレード(Helicon)から、バリデーターの投票で決まる方式に変わりました。
手数料は混み具合によっても変わるので、金額は送る画面で確かめてください。
ステーキングは、AVAX を一定の期間預けてネットワークの運営に加わり、報酬を受け取る仕組みです。
取引を確かめて記録する参加者を、バリデーターと呼びます。
Primary Network のバリデーターになるには、2,000 AVAX 以上を、48時間以上の期間で預けます(Helicon から。それまでは2週間以上)。
自分でバリデーターを動かさず、ほかのバリデーターに預ける「デリゲーション」は、25 AVAX 以上・2週間以上です。
報酬は、預けた期間の終わりに、新しく発行される AVAX で支払われます。
報酬の条件は、バリデーターとデリゲーションで、だれが満たすものかが違います。
バリデーターは、自分のノード(ネットワークに参加するコンピューター)が、期間の90%以上オンラインであることなどが条件です(Helicon より前に始めた分は80%以上)。
デリゲーションは、預けた先のバリデーターがこの条件を満たした場合に、報酬が出ます。
Primary Network の AVAX のステーキングには、預けた元本を没収する仕組み(スラッシング)はありません。
ただし、預けた AVAX は期間の途中で引き出せず、条件を満たさなければ報酬は得られません。
Avalanche L1 は独自のルールを作れるので、ここまでの話は Primary Network のステーキングに限ったものです。
取引所のステーキングでは、報酬の出どころや手数料、預けた分の扱いが、その会社の規約で決まります。
ステーキングの仕組みは、ステーキングの記事でくわしく説明しています。
2024年12月16日(世界標準時。日本時間では17日)のアップグレード(Etna)で、新しい形の Avalanche L1 のバリデーターが導入されました。
この形のバリデーターは、2,000 AVAX を預ける代わりに、P チェーンに置いた AVAX の残高から、手数料を払い続けます。
公式の資料では、この手数料もバーンされると説明されています。
Avalanche L1 の中で払う手数料をどう扱うかは、それぞれの L1 が設定で決められます。
AVAX の発行の上限は、7億2,000万枚です。
ジェネシス(ブロックチェーンの最初の状態)の時点で、半分の3億6,000万枚がありました。
その後は、ステーキングの報酬として、少しずつ新しく発行されています。
一方で、手数料として払われた AVAX はバーンされて消え、発行し直されることはありません。
そのため公式の説明では、これから出回りうる最大の量は「7億2,000万枚から、これまでにバーンされた分を引いた量」です。
P チェーンには、だれでも数字を問い合わせられる公開の窓口(API)があります。
編集部が2026年10月25日に問い合わせると、供給量として約4億7,571万枚という値が返ってきました。
ただし、この値は「いま出回っている量」でも「実際に発行済みの量」でもありません。
公式の説明では、この値はバーンされた手数料を差し引いていない、上限の値です。
さらに、ステーキングの報酬を、預けた時点で見込みで先に足しておき、報酬が出なかったら差し戻す数え方になっています。
同じ時点で、ステーキングに預けられている AVAX は約2億1,146万枚で、この上限の値に対して約44%でした。
「流通量」や「発行済み数量」の数字は、資料によって何を数えているかが違うので、見るときは出どころと時点を確かめてください。
価格が上がる・下がるとは断定できません。
ここでは、公開情報で確認できる供給の決まり、ネットワークの使われ方、ETF・企業事例の事実を分けて示します。
AVAX は、上限の7億2,000万枚まで、ステーキングの報酬で少しずつ増え、手数料のバーンで減ります。
公式の説明では、上限まではまだ遠く、ほとんどの期間で増えていく資産になるとされています。
ここに並べるのは、会社や運営元が発表した事実です。
【稼働】はサービスが始まったもの、【検討】は合意して検討を始めたもの、【協業発表】は協力することの発表です。
ステーブルコインは、値段を1ドルや1円の近くに保つように作られた暗号資産です(くわしくはステーブルコインの記事)。
検討の合意は、発行や実際の利用が決まったという意味ではありません。
どれも個別の事例で、ネットワーク全体の使われ方や価格を示すものではありません。
続けて使われているかや成果は、それぞれ別に確かめる必要があります。
ETF は、資産を組み入れて、証券取引所で株のように売買できるようにした商品です。
米国では2026年に、AVAX を持つ ETF が次の3本、取引を始めました。
3本とも、持っている AVAX をステーキングに回す仕組みを組み込んでいます。
ETF は、米国の証券取引所で AVAX を組み入れた商品が売買されているという事実で、価格の見通しを示すものではありません。
ここからは、仕組みをもう少し詳しく知りたい人に向けた補足です。
合意の仕組み(Snowman)、Avalanche L1 の新しい方式、アップグレードの決め方、この記事の数字の取り方と、確かめた資料をまとめています。
ブロックチェーンで、参加者どうしが「どの記録を正しいとするか」をそろえる仕組みを、コンセンサス(合意)と呼びます。
アバランチの3つのチェーンは、どれも Snowman という仕組みで合意しています。
X チェーンはもともと別の仕組みでしたが、2023年4月25日(世界標準時。日本時間では26日)のアップグレード(Cortina)で Snowman に移りました。
Snowman では、参加者がほかの参加者の一部に問い合わせることをくり返して、意見をそろえていきます。
公式の取引所向けの資料によると、C チェーンの取引は、約1秒で取り消せない形で確定します。
確定したあとに各ノードがブロックの中身を実行し、残高や記録は、その実行が終わってから読めるようになります。
そのため、「取り消せない形で確定すること」と、「ウォレットや取引所の画面に反映されること」は別のことです。
Avalanche L1 は、Primary Network とは別に、それぞれのバリデーターとルールで動くブロックチェーンです。
2024年12月の Etna で導入された形の L1 のバリデーターは、Primary Network を検証する必要がなく、2,000 AVAX を預ける条件もありません。
代わりに、P チェーンに置いた AVAX の残高から手数料を払い続け、残高がなくなると、検証に加われなくなります。
ただし技術の資料では、Etna で入ったこの新しい方式と区別するために、Etna より前の方法で作られたチェーンを、いまも「サブネット」と呼んでいます。
このサブネットのバリデーターは、2,000 AVAX を預けて Primary Network も検証する方式を続けられます。
アバランチの仕組みを変える提案は、ACP(Avalanche Community Proposal)という形で、だれでも出せます。
ノードを動かす参加者は、設定で、提案への支持や反対を示せます。
最後は、それぞれの参加者が、その変更を含むソフトウェアを動かすかどうかで、採用が決まります。
AVAX は、同じ名前でも、どのネットワークのどのチェーンにあるかで送り方が変わります。
送る前に、受け取る側の画面で、ネットワークとアドレスを確かめてください。
本記事は暗号資産の仕組みに関する情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入・売却を推奨したり、投資を勧誘したりするものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本は保証されていません。投資の判断はご自身の責任で行ってください。記載内容は2026年10月26日時点で確認できた情報にもとづいており、その後の状況の変化を反映していない場合があります。
この記事は まず知る.com 編集部(運営:合同会社東洋DEX)が書いています。運営者と編集方針