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    Ethereum公開日: 2026-09-29/更新日: 2026-09-30

    イーサリアムのガス代はなぜ安くなった?チェーンの記録で見る推移と2つの理由

    イーサリアムのガス代はなぜ安くなった?チェーンの記録で見る推移と2つの理由

    目次

    • 1本当に安くなったのか
    • 2なぜ安くなったのか
    • 3また高くなることはあるのか
    • 4いまのガス代を確かめるには
    • 5もっと詳しく知りたい人へ(技術的な補足)

    この記事に関連する用語

    Ethereum
    📝

    この記事でわかること

    • イーサリアムのガス代は本当に安くなったのか(1回の送金でいくらくらいか)
    • なぜ安くなったのか(たとえ話でざっくり)
    • これからまた高くなることはあるのか

    「イーサリアムのガス代が安くなった」と聞いても、送るだけで数千円かかったという話を覚えていると、にわかには信じにくいかもしれません。

    結論から言うと、本当に安くなっています。

    ETHを1回送るときの基本手数料は、2021〜2022年の測った日には数百円から千円近く、2024年でも数十円から200円台でしたが、2025年夏以降の測った日は1円前後から数円です(どれも1ETH=40万円として計算した場合)。

    ETHを1回送るときの基本手数料(チップを除く)
    2021年11月15日
    約991円
    混んでいた時期
    →
    2025年8月〜2026年9月
    約1〜3円
    最近の測った日
    ※各日の中央値。1ETH=40万円として計算。実際の支払いには、ふつうチップが加わる

    ここでの金額は、ガス代のうち自動で決まる「基本手数料」の部分だけです。

    実際に払う額には、ふつうは早く処理してもらうための上乗せ(チップ)が加わるので、ウォレットの見積もりはこれより高くなることが多いです。

    この記事では、その変化をイーサリアム自体の記録で示し、なぜ下がったのかと、また上がることはあるのかを順に説明します。

    いまの値(チップを含む参考額)はイーサリアムのガス代(いまの値)で確かめられます。

    本当に安くなったのか

    イーサリアムでは、取引は「ブロック」という単位にまとめて記録され、そのとき払われた手数料の単価もブロックに残っています。

    その記録を2021年8月から数か月ごとに1日ずつ読み取り、ETHを1回送るときの基本手数料が円でいくらにあたるかを並べたのが、次のグラフと表です。

    1回の送金の基本手数料(チップを除く・円・1ETH=40万円として)
    991円
    212円
    3.2円
    2021
    2022
    2023
    2024
    2025
    2026
    ※下の表の測った日ごとの中央値。測った日の間隔は一定ではありません

    ※表は横にスクロールできます

    測った日1回の送金の基本手数料(チップを除く・1ETH=40万円として)単価(Gwei)
    2021年8月6日約313円37.3 Gwei
    2021年11月15日約991円117.9 Gwei
    2022年2月24日約622円74.0 Gwei
    2022年5月2日約432円51.4 Gwei
    2022年8月15日約121円14.4 Gwei
    2023年3月26日約134円16.0 Gwei
    2023年9月26日約114円13.5 Gwei
    2024年2月6日約212円25.3 Gwei
    2024年5月7日約53円6.283 Gwei
    2024年8月6日約30円3.515 Gwei
    2024年11月4日約34円4.043 Gwei
    2025年2月3日約120円14.3 Gwei
    2025年5月4日約3.0円0.363 Gwei
    2025年8月3日約2.2円0.267 Gwei
    2025年11月1日約0.7円0.089 Gwei
    2026年1月31日約0.9円0.103 Gwei
    2026年5月1日約2.0円0.234 Gwei
    2026年7月31日約1.0円0.121 Gwei
    2026年9月28日約3.2円0.384 Gwei

    2021年11月15日の中央値では約991円と、1回送るだけで千円近くかかっていました。

    2024年2月6日でも約212円でしたが、2025年5月以降の測った日は1円前後から数円に収まっています。

    金額は、その時期のETHの値段ではなく、どの時期も1ETH=40万円と置いて計算しています。

    ETHの値段の上下を混ぜると、ガス代そのものが安くなったのかどうかが見えにくくなるためです。

    右端のGweiは、ウォレットなどで見かける単価の単位で、10億Gweiで1ETHになります。

    なお、表はそれぞれ1日分の測定なので、たまたま混んでいた日や空いていた日の影響を受けています。

    表に出ていない瞬間には、もっと高いときもありました。

    2022年5月1日の午前には、一時的に極端に混み、1つのブロックで基本手数料が7,751Gweiに達しています。

    これはETHを1回送るだけで0.163ETH、1ETH=40万円なら約6.5万円にあたる水準です。

    トークンの交換やNFTの売買は送金よりずっと多くのガスを使うので、こうした時期に数千円から数万円かかったという話は、大げさなものではありません。

    なぜ安くなったのか

    ガス代のうち、自動で決まる「基本手数料」は、道路の混雑料金のようなものだと考えると分かりやすくなります。

    道が混んでいれば料金は上がり、空いていれば下がる、という決まり方をしているからです。

    この「道の混み具合」を下げる方向に働く変化が、2つ起きていました。

    2024年まで
    🚗🚚🚗🚚🚗🚚
    🚚🚗🚚🚗🚚🚗
    車線が少なく、トラックの荷物も一般の道に積まれて混みやすい → 混雑料金(基本手数料)が上がりやすい
    いま
    🚗  🚗
     🚗  
       🚗
        
    📦📦📦 荷物用の専用レーン(blob)
    車線が2倍になり、荷物は専用レーンへ → 混雑料金が上がりにくい方向に
    🚗=ふつうの取引 🚚📦=レイヤー2がまとめて載せる記録(荷物)

    車線が2倍に増えた

    イーサリアムでは、1つのブロックに詰め込める量に上限があり、これが道路でいう車線の数にあたります。

    この上限は2024年まで変わっていませんでしたが、2025年に段階的に引き上げられ、年末には2倍になりました。

    通る車の数が同じなら、車線が増えるほど渋滞は起きにくくなり、混雑料金も下がっていきます。

    トラックの荷物が専用レーンに移った

    もう1つは、道を大きく占めていた荷物が、別のレーンに置かれるようになったことです。

    イーサリアムには、本体の外で多くの取引をまとめて処理し、その記録だけを本体に載せる「レイヤー2」という仕組みがあります。

    以前は、レイヤー2がその記録を本体のふつうの取引と同じ場所に書き込んでいたため、一般の道に大きな荷物を積んだトラックが何台も走っているような状態でした。

    2024年3月のアップグレードで、こうした記録を置くための専用レーン(「blob」と呼ばれる領域)が作られ、2025年5月にはそのレーンが広げられました。

    専用レーンには一般の道とは別の料金があり、荷物の分はそちらで払います。

    取引そのものには一般の道の料金もかかりますが、場所を大きく取る荷物が専用レーンに移るので、一般の道を占める量は減る方向に働きます。

    専用レーンに置いた荷物(blobのデータ)は、約18日たつと通常のノードが保存しなくてよくなりますが、取引があったという記録そのものは残ります。

    荷物が専用レーンに移ったぶん、ふつうの送金の混雑料金も上がりにくくなったと考えられます。

    どちらがどれだけ効いたかは分けられない

    この2つは、どちらも混雑料金を上がりにくくする方向の変化ですが、それぞれが実際の値下がりにどれくらいつながったのかは、記録からは切り分けられません。

    相場が盛り上がって取引が増えれば、同じ道でも混むので、利用する人の多さの変化も効いているはずです。

    実際、専用レーンができた直後の2024年や、車線の引き上げが始まったばかりの2025年2月は、まだ高い日がありました。

    また高くなることはあるのか

    あります。

    混雑料金の決まり方そのものは変わっていないので、利用が一気に増えれば、今でも短い時間で上がります。

    2026年9月28日の夕方には、0.100Gweiだった基本手数料が、約1時間20分後には2.209Gweiまで上がりました(約22倍)。

    下がったのは測った日の値の話で、送るその瞬間にいくらかかるかは、そのときの混み具合しだいです。

    一方で、値下がりの背景として確かめられる2つの変化は、どちらも公開された提案や設定の変更として進められたものです。

    いまのガス代を確かめるには

    送る前に、その時点の値を見るのがいちばん確実です。

    イーサリアムのガス代(いまの値)では、ETHを1回送るときの参考額を、チップの目安も含めて、ブロックの記録にもとづいて開くたびに計算し直しています。

    円の目安と、その場のETHの価格も並べているので、自分のやりたいことに使えそうかの判断材料にしてください。

    取引所から外部へ送る場合は、ガス代ではなく、取引所が決めた送金手数料がかかる点にも注意してください。

    もっと詳しく知りたい人へ(技術的な補足)

    ここからは、上のたとえ話の中身を、仕様や公式の資料にそって補足します。

    基本手数料の決まり方

    イーサリアムの公式ドキュメントによれば、ブロックに詰め込める量の上限(ガスの上限)の半分が、目標の大きさとされています。

    直前のブロックが目標を上回れば基本手数料は上がり、下回れば下がり、1ブロックで動く幅は最大12.5%です。

    払われた基本手数料は、誰の手にも渡らずに消滅(バーン)します。

    実際に払う手数料は「使ったガスの量 ×(基本手数料 + チップ)」で、この記事の金額はチップを除いた部分です。

    ガスの上限が切り替わった日

    各ブロックに記録されたガスの上限を読むと、次の日に切り替わっていました。

    ※表は横にスクロールできます

    日付(日本時間)ガスの上限
    2025年1月31日3,000万から引き上げが始まる(ブロック21740889)
    2025年4月20日約3,600万に到達(ブロック22308829)
    2025年7月24日約4,500万に到達(ブロック22988382)
    2025年12月1日約6,000万に到達(ブロック23912557)

    6,000万への引き上げは、EIP-7935という提案として、ノードを動かすソフトの初期設定を変える形で進められました。

    blobとアップグレード

    専用レーンにあたるblobは、2024年3月13日のDencunアップグレードで、EIP-4844によって導入されました。

    EIP-4844の仕様では、blobのガスは通常のガスとは独立していて、基本手数料と同じような独自の調整の仕組みを持つとされています。

    blobを使う取引も、取引そのものの実行には通常のガス代を払い、blobの分の料金はそれとは別に払います。

    blobのデータは約18日たつとノードが削除してよいことになっていますが、取引とblobを指し示す情報はチェーンに残ります。

    2025年5月7日のPectraアップグレードでは、1ブロックに入れられるblobの数を増やすEIP-7691と、データを大量に書き込む取引(calldata)の手数料を上げるEIP-7623が入りました。

    EIP-7623の提案文書は、blobがデータの置き場として推奨される方法だとしています。

    チェーンの記録でも、1ブロックあたりのblobの数は、2024年5月7日の平均1.0個から、2026年1月31日には平均6.0個まで増えています。

    データの取り方

    表の数値は、2026年9月29日に、イーサリアムの公開ノードからブロックの記録を読み取って作りました。

    各測定日の0時(日本時間)以降の最初のブロックから、300ブロックおき(約1時間おき)に24ブロックを読み、基本手数料・ガスの上限・blobの使用量の中央値や平均を取っています。

    起点にしたブロックの番号は次の表のとおりです(各日、起点から300ブロックおきに24ブロック)。

    この表と上の手順があれば、同じ値を誰でも確かめられます。

    ※表は横にスクロールできます

    測った日(日本時間)起点にしたブロック最後に読んだブロック読んだノード
    2021年8月6日1296564012972540dRPC
    2021年11月15日1361464213621542dRPC
    2022年2月24日1426302314269923dRPC
    2022年5月2日1469264014699540dRPC
    2022年8月15日1534044615347346dRPC
    2023年3月26日1690522816912128PublicNode
    2023年9月26日1821355318220453PublicNode
    2024年2月6日1916282019169720PublicNode
    2024年5月7日1981179619818696PublicNode
    2024年8月6日2046312120470021PublicNode
    2024年11月4日2110787221114772PublicNode
    2025年2月3日2175958221766482PublicNode
    2025年5月4日2240401222410912PublicNode
    2025年8月3日2305412923061029PublicNode
    2025年11月1日2369809323704993PublicNode
    2026年1月31日2434844124355341PublicNode
    2026年5月1日2499368125000581PublicNode
    2026年7月31日2564643025653330PublicNode
    2026年9月28日2606954826076448PublicNode

    2022年9月以降はPublicNode、それより前は古い記録も保存しているdRPCのノードから読みました。

    dRPCの値がほかの公開ノードと一致することは、2021年8月のブロックで確かめています。

    ガスの上限が切り替わった日は、上限が一定の値を初めて超えたブロックを探して特定しました。

    2022年5月1日の最高値(ブロック14688979)と、2026年9月28日の急な値上がり(ブロック26074563から26074963)は、その前後のブロックをすべて読んで見つけたものです。

    💡

    おさえるポイント

    • ETHを1回送るときの基本手数料(チップを除く)は、2021〜2022年の測った日の数百円〜千円近く、2024年の数十〜200円台から、2025年夏以降の測った日は1円前後〜数円に下がった(1ETH=40万円として計算)
    • たとえると、車線が2倍に増え、トラックの荷物が専用レーンに移った。どちらも混雑料金を上がりにくくする方向の変化
    • それぞれが実際の値下がりにどれだけ効いたかは分けられず、利用する人の多さの変化も影響している
    • 混めば今でも短時間で上がるので、送る前にその時点の値(チップを含む)を確かめる
    ⚠️

    この記事について

    本記事は暗号資産の仕組みに関する情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入・売却を推奨したり、投資を勧誘したりするものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本は保証されていません。投資の判断はご自身の責任で行ってください。記載内容は執筆時点で確認できた情報にもとづいており、その後の状況の変化を反映していない場合があります。

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